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■第1回
 安全に運動を行うために


■第2回
 運動実施の諸注意


■第3回
 身体活動・運動・体力について


■第4回
 健康づくりのための運動基準 2006
 〜その1


■第5回
 健康づくりのための運動基準 2006
 〜その2


■第6回
 健康づくりのための運動基準 2006
 〜その3 【高血圧症】

■第7回
 服薬者の運動と急性疾患の注意点
 〜その2 【糖尿病】


■第8回
 服薬者の運動と急性疾患の注意点
 〜その3 【虚血性心疾患】


■第9回
 服薬者の運動と急性疾患の注意点
 〜その4 【脂質異常症・急性疾患】




 医学的検査、体力測定、生活状況調査、食生活調査、問診などの健康診断を受け、主治医の運動処方に従って、病態に合わせた強度を設定して運動を実施しましょう。
 治療のために服薬する必要がある場合は、運動を開始する前に薬と運動との関係を主治医に相談しましょう。薬を服用して運動することによって副作用を起こす恐れがないことを確認しておくことが大切です。
特に、経口血糖降下薬の場合には、服薬時間と運動との関連について注意を必要とする薬があることを理解しておきましょう。
また、投薬の変更や追加が行われた場合は、運動との関係を必ず再確認しましょう。

 運動の実施日には、服薬コンプライアンス( 処方通りに薬を服用すること )、薬の種類、服薬時間、服薬回数、一日量、飲み忘れていないかなどの服薬状況を再確認してから運動を行いましょう。
そして、当日の身体コンディションによって運動内容を変更するなど、体調に合わせた適正な運動強度を選択することが大切です。

各病態の運動注意点【1】

1.【高血圧症】
≪1≫運動療法の適応

運動療法の適応となるのは、心血管系などの臓器障害がない、軽度の高血圧症の場合です。
運動療法を始める前に、必ず虚血性心疾患などの合併症がないことを確認しましょう。

≪2≫運動強度

(1)最大酸素摂取量の50〜60%( 最大70%まで )に相当する運動強度が適当です。
   この運動強度はボルグの自覚的運動強度の11< 楽である >、併走者と楽に話しができる“ ニコニコペース ”に相当します。
   最大酸素摂取量の50%の運動強度を簡易的に心拍数で表すと、一例として、60歳で安静時心拍数60拍の場合、下記の計算式からおよそ110拍になります。

  目標とする心拍数の求め方
  目標心拍数 ={ (220−年齢)−安静時心拍数 }× 0.5(運動強度)+ 安静時心拍数
 ( 運動強度50%の場合は、50 / 100 = 0 .5に変換して計算します )
(2)運動の中止時期は、最大酸素摂取量の70%の運動強度、ボルグの自覚的運動強度の< ややきつい >“ 息がはずむ ”に設定しましょう。
   最大酸素摂取量の70%の運動強度を簡易的に心拍数で表すと、60歳で安静時心拍数60拍の場合、およそ130拍になります。
 注)
   心拍数は、僅かな運動強度の変化によって常に変動しています。
  運動中の心拍数を一定の目標値に保とうとすることは良いことですが、
  あまり神経質にならず、70%の運動強度以下の心拍数を守ることを心掛けましょう。
  心拍数を意識し過ぎて回りへの注意が疎かになっては、かえって危険です。

≪3≫運動実施の頻度

 ボルグの自覚的運動強度の< 楽である >を用い、心拍数 110/分程度の運動を、
 60分/日 ・ 3回/週 、あるいは 30分/日 ・ 6回/週行うことが薦められます。

≪4≫運動種目

  (1)速歩、ジョギング、水泳などの有酸素運動と柔軟性を増すストレッチング。
  (2)軽い収縮期血圧の上昇を伴う等張性運動( 筋肉の長さを変化させながら行う筋力トレーニング )。
 注)
   筋力トレーニングを行う場合は、呼吸を止めずに運動を行うことが必須です。
  呼吸を止めて運動を行うと血圧が急激に上昇して血管に異常を起こす危険が高まります。

トレーニング中に声を出して実施回数を数えるなどの方法を用いて、呼吸を止めないことを心掛けましょう。

≪5≫運動の効果

 運動の降圧の効果は、運動を開始してから1ケ月頃から表れ、3ケ月後には有意になります。
 運動耐容能は、3ケ月間である一定の水準に達し、停滞した状態( Plateau : プラトー )になります。
(1)長期間の身体活動は、高血圧患者の収縮期血圧を7.4mmHg、拡張期血圧を5.8mmHg低下させます。
   正常血圧者では、収縮期血圧を2.6mmHg、拡張期血圧を1.8mmHg低下させます。
(2)境界域高血圧の症状は、1ケ月程度の運動の継続によって正常値に向かいます。
(3)等張性運動は、減塩、アルコール摂取量の減少などの食習慣の改善を同時に行うことによって、運動中の拡張期血圧を低下させる効果が得られます。
(4)体力トレーニングの原則に沿って運動強度を漸増することは、単位時間当たりの酸素消費量を増加させ、呼吸や循環系機能を高めて全身持久力を向上させます。
(5)筋力トレーニングは、筋量を維持するとともに増加させる効果が得られます。
(6)ストレッチングは、全身の柔軟性、調整力を維持するとともに向上させる効果が得られます。

≪6≫薬剤との関係

(1)運動時にβ遮断薬を服用している場合は、
   運動耐容能が低下する場合があるので、
   脈拍の減少や運動能に注意しましょう。
(2)β遮断薬やジルチアゼムなどを服用している場合は、
   徐脈の副作用があるため、心拍数を用いた
   強度設定は参考にとどめ、ボルグの自覚的運動強度(RPE)
   無酸素性作業閾値(AT)を用いましょう。
(3)運動時に利尿薬を服用している場合、
   暑熱環境下では平常時より脱水症状に注意する必要があります。
   適当な水分補給を心掛けましょう。
(4)α遮断薬やCa桔抗薬、血管拡張薬を服用している場合は、
   運動後に低血圧を起こす可能性があるため、
   クールダウンは段階的かつ長めに行いましょう。
(5)運動時にふらつきが起こった場合は
   運動誘発性低血圧が考えられますので、
   運動を中止して経過をみましょう。

主要薬剤の副作用と運動時の注意点

薬 剤 副作用 運動時の注意点
Ca拮抗薬 【ジヒドロピリジン系】
 頻脈、頭痛、下腿浮腫
【ジヒドロピリジン系】
 運動誘発性発症低血圧に注意
【ジルチアゼム】
 徐脈
【ジルチアゼム】
 ボルグ指数(ややきつい)までを使用
利尿薬 低K血症、高尿酸血症、
高血糖症
脱水症状に注意
β遮断薬
(αβ遮断薬を含む)
徐脈、喘息 ボルグ指数(ややきつい)までを使用
(徐脈の副作用あり)
α遮断薬
起立性低血圧、めまい 急激な体位変化(めまい)に注意
ARB 高K血症、血管浮腫 運動時に注意すべき副作用はない
(運動処方の原則を守る)
ACE阻害薬 空咳、高K血症、血管浮腫

ARB     :アンジオテンシン ll 受容体拮抗薬
ACE阻害薬:アンジオテンシン変換酵素阻害薬

出典 :厚生労働省 健康づくりのための運動基準2006 一部改変、
    高齢者運動処方ガイドライン ( 南江堂 ) 

→次回は、「服薬者の運動と急性疾患の注意点〜その2」です。



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